利光泰徳のブログ

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MIT流就活:「就活解禁」は、1年生の3週間目

19 Jan 2019

アメリカの就活とは、どのような仕組みなのでしょうか? 日本の就活といえば、黒スーツに身を固めて、インターンシップ(本来のインターンシップとは異なる、超短期の実質的な説明会のようなものが多いですが)、説明会、エントリーシート、数々の面接を経て内定、という流れがあります。マイナビ・リクナビなどで統一的にエントリーを管理でき、経団連が日程を決めるので、どの企業にしてもだいたい似通ったプロセスでしょう。(私自身は就職はまだあと少なくとも3年は先なのであまり詳しくは知りませんが…)

自由の国アメリカで、大学生がお揃いのリクルートスーツを着ていることは想像し難いですよね。 堅苦しい面接などをしてそうなイメージもありません。 留学に来るまでは「アメリカでの就活」について深く考えたこともなかったので、「大学にいるうちに会社の人とコネクション作っていって、相性のいい会社に入るのかな〜」なんて呑気なことを思ってました。

全然違いました。MITでは大学1年生の3週間目から、就活が始まっています。 まあ、1、2年生だと就職先よりはインターンシップを探したりする意味合いが大きいので「キャリア活」といった感じですかね。

3週間目に何があるかというと、MIT Career Fairです。 大小400社以上が、MITに集結して、ブースを立てて学生たちに会いにきます。 そしてまた、やってくる企業がすごい!ほんの一例だけでも…

Apple

人気スマホシリーズ「iPhone」などを作っている企業。

Boston Dynamics

バク転するロボット「Atlas」などを作っている企業。 会場にSpot Miniを持ち込んで、MIT生の心を鷲掴みしていた。 ついにホンモノを、しかも動いているものを見れて感激!!

SpaceX

打ち上げ後、そのまま着陸するロケット「Falcon 9」を作ったり、月にZOZOの社長を送るロケットを作ろうとしている企業。

NASA JPL

他の惑星にロボットを送りまくってる研究所。

など、名だたる気鋭の企業や研究所が参加しています。

自分を売り込むセールストーク、Elevator Pitch

キャリアフェアの会場では、学生が企業のブースで、採用担当者に対して「Elevator Pitch」というスピーチをする、というのがお決まりとなっています。 これは、

などの情報を、30秒くらいにまとめた短いスピーチです。営業で自社の製品を売り込む「セールスピッチ」というものがありますが、同様に自分自身を企業に対して売り込むピッチ、というイメージです。 行きたい企業の採用担当者などにエレベーターで遭遇した時、ドアが開く前にスピーチを終わらすことができるか、という仮想的なシチュエーションから来ています。(もし突然、エレベーター内でピッチされたら迷惑な気もしますが)

学生は誰もがこれを身につけてから臨みます。 この時、自分の経歴をまとめたレジュメも同時に渡します。 企業側がレジュメを見て、ピッチを聞いて、企業のニーズとマッチしていたら後から採用担当者から連絡が来る、というのが基本的な流れです。 その先は面接が何度かあります。ここら辺は日本の就活に似ていますね。(どちらの国の就職面接も、自分自身で体験した訳ではないので違いがあるかも分かりませんが)

学部卒業後は半分以上が就職

Graduating Student Surveyなどに、MITの卒業生の細かい統計データが載っています。それによると、学部卒業生の55%が、卒業後直ちに就職します。東大工学部では、同じ数字は10%程度です。ちょっとデータを漁って、グラフを作ってみました。

MITは工学系と理学系だけでなく、文系の学部もいくらかあるので、東大工学部と単純な比較はできません、と断っておきます。

それにしても、なかなか違いますね。 私は「エンジニアは学部卒の時点ではまだ力不足で、修士までは行かないとやりたいことができない」と思っていたので意外でした。 周りのMIT生の多くも、「就活のインタビューとか大変なんだよね〜」とかよく言っているので、確かにこの数字も納得できます。

なぜ、こんなに違いがあるのでしょう。私が適当に考えた理由は、MIT(ひいてはアメリカの工学系のトップ校)では、

「やりたいこと」がはっきりしている学生が多い

問題意識を持ち、「私はこの問題を解決したい・この業界で働きたいからここで勉強している」と入学当初から決めている学生が多いです。そういう人は、1年生の頃からインターンシップや研究室に所属したりして、力をつけていくので、学部を卒業することには、進むべき業界も決めたて、仕事のための能力も十分つけていることでしょう。

学部生が参加できるインターンシップ、UROPが多い

UROPとは「学部生のための研究機会プログラム」のことで、研究室インターンのようなものです。普通の授業と同じように、単位がもらえます。研究室で何を担当するかは各々違いますが、どれも「研究を体験してみよう!」のような軽いものではなく、実際の研究に関わり、研究室で「役立つ」ことが求められます。 UROPに応募する際にも、その研究をしているリサーチャーと直接会って、「私を受け入れてくれたらこんなことができますよ」とアピールする必要があります。 MIT生のほとんどが、在学中に一度は参加するプログラムで、1年生から参加する人もいます。

ちなみに東大でも、生産技術研究所の大島まり先生がUROPを運営されています。私も2年生時に生産研の研究室に所属させてもらい、研究室の様子を知るよい機会になったので、前期課程から研究に関わってみたい東大生がいたらおすすめです!

もちろん、経験を十分積んだ上でそれを深めるために研究しようと大学院に進む場合もあります。 また、企業でしばらく働いてから、Ph.Dを取るために大学に戻る、という学生もたくさんいます。

プログラマとコンサルが人気

ちなみに、どのような業界に進んだか見てみると、はっきりと傾向が見えてきます。 以下の二つの図は、MITのサーベイから取ってきました。

学部卒はソフトウェア系、修士卒はコンサル系に進むことが多いようです。

詳しくはハンドブックを!

このハンドブックに、アメリカでの就活に必要そうなことが一通りまとまっていました。

MIT流、就活虎の巻。

「エレベーターピッチ(30秒程度の自己PR)」とか業界で働いてる人への訪問とか、不文律だと思ってた事柄について詳しく書いてある。お世話になりそう。
しかも本だけなら誰でもオンラインで見れる pic.twitter.com/EqJ1zGd1dh

— уαѕυ (@JeSuisYasu) August 29, 2018

アメリカでは「Fake it till you make it」(上手くいくまでは、そのふりをしろ)とよく言われます。 あらゆる場面における最適なアドバイスではないかもしれませんが、いつか踏み出さないと、やりたいことは始められません。 「十分経験を得てから、始めたい」と思っていると、卵が先か鶏が先かのようになってしまい、いつまで経っても始められません。 MITでは、臆せずに様々な機会に身を投じていく人が多いと感じました。

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